【プライズマシン解説】ネイルステージ【中途半端で爆死？】

どんなゲーム？
過去機種との違い
でも…なんだかパッとしない
声優起用
頂いた補足情報
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どんなゲーム？

　ネイルステージ(NAIL STAGE)2011年(平成23年)にタイトーから発売されたクレーンゲームです。
全ての照明にLEDを採用し、筐体カラーは白とピンクのカラーリングが特徴です。
オーソドックスなボタン操作と、時間内で何度でも操作可能なレバー操作を施設側で選択でき、ボタン長押しでアームが横方向に回転します。
タイトーのクレーンゲームといえば、カプリチオシリーズが1991年の初代機から続く有名機種でしたが、このネイルステージ以降、タイトーはクレーンゲーム開発から離れてしまいます。
カプリチオの名称は外れましたが、カプリチオシリーズで恒例になっていたアーム回転やレバー操作など、過去のマシンから機能を受け継いでいます。

過去機種との違い

　ネイルステージ最大の特徴は、有線のリモコンを使用した設定変更や各種操作が可能な点です。
従来のクレーンゲーム機は、プレイヤー用のコントロールパネル下に付いているメンテナンスドアを開けて操作をするのが定番であり、調整の度に屈んで中を覗き込む必要がありました。
このネイルステージはほとんどの操作をフィールド内の液晶画面付き有線式リモコンで行うことが可能です。
このため、フィールドの窓ガラスだけを開けて立った姿勢のまま作業を行うことができ、作業スタッフの負担が軽減されています。
　リモコン以外にもフィールド内にエラー解除用ボタンが設置されていたり、正面のガラス窓は左右を交差することが可能でガラスの隙間も清掃しやすい構造です。
照明は全てがLEDで、明るく省電力かつ長寿命です。
ナムコのクレナ2、セガのUFO8と同様にフィールドの高さが調節可能で、なおかつ調整は電動式になっています。
その他景品の見本を飾るディスプレイパネル、電源コードの天井出し、背面ボードを取り外して背中合わせに2台連結など、オペレーターや設置店舗の負担軽減や利便性を重視した機能が多数搭載されています。
　クレーンゲームとしての機能では、カプリチオシリーズでお馴染みのアーム回転機能、ボタン操作とレバー操作を選択できる機能を受け継いでおり、タイトーらしさが出ています。

でも…なんだかパッとしない

　ネイルステージは前述の通り、運営側への使いやすさを大いに考慮して開発されていますが、クレナや同時期のUFOキャッチャーと比較するとネイルステージはマイナーでイマイチなイメージ…
あまり売れなかったみたいですね。
発売から10年以上経過しましたが、後継機どころかタイトーはクレーンゲーム開発から遠ざかってしまいました。
ネイルステージはナムコ、セガのクレーンゲームとどこが違っていたのでしょうか？
　筆者が思うに、ネイルステージの敗因は二つです。

汎用性が低い
競合機種と発売時期が重なった

　圧倒的シェアを誇るナムコのクレナフレックスは、パネルの組み替えにより、フィールド全てがどこでも落とし口にできる設計で、あらゆる景品を扱えるようになっています。
クレナに対抗してセガが送り出したUFOキャッチャー8も同様の機能を持っていました。
それに対してネイルステージの落とし口は位置固定、サイズもフィールドの半分までで、使える景品サイズは30センチまでになっています。
付属のアームも小さめになっており、大きな箱やぬいぐるみに対応できません。
何より、既にこのころ定番化していた橋渡し運営が作りにくい構造のため、設定の担当者は使いように悩まされたことでしょう。
アームの回転機能についてはタイトー製クレーンのアイデンティティともいえますが、ペイアウトをある程度一定に保ちたい店側のニーズとも一致せず、回転OFFで運営されがちなのが現実です。
　また、同年にナムコからクレナ2クイーン、セガからUFOキャッチャー8セカンドが発売されたことはネイルステージにとって逆風となりました。
大ヒット作のクレナの後継であるクレナ2が優秀なのは言わずもがなですが、UFO8セカンドが照明をLED化したことにより、ネイルステージの強みである省電力はアドバンテージを失いました。
こうなってしまってはネイルステージは非常に不利な状況です。
新しくクレーンゲーム機を導入するとなった際にクレナ2クイーン、UFO8、ネイルステージ、を選べる状況ではあえてネイルステージを選択する施設は少ないのではないでしょうか。
　そんなわけで、タイトーの中では優秀なネイルステージですが、クレーンゲーム界では中途半端な性能で同時期の他社製品に埋もれてしまったというのが筆者の印象です。
これ以降タイトーは長らく新型クレーン機の発売から遠のき、完全自社開発のクレーンゲーム機は2022年4月現在発売されていません。